となりのムスリム 日本の生活
イスラム圏の人たちで日本に来た人は、全く異なる文化の中でどのように暮らしているのでしょうか。この記事では、仙台市で増えているというムスリム(イスラム教徒)たちの暮らしぶり、様々な活動を紹介します。
となりのムスリムin仙台
仙台では、ムスリムが増えているため、イスラム教徒のかかせない要素を整えようとしているようですが、それでもムスリムたちはいろいろ苦労しているようです。
そこには、日本人にはないイスラムの素晴らしい教えも息づいています。
となりのムスリム モスクと礼拝
仙台市内には、2006年に完成した「仙台マスジド」という唯一のモスクがあります。そこには、毎週金曜日になると、イスラム圏の人たちが集まり、聖地メッカに向かって一斉に礼拝をします。
仙台マスジドは、「仙台イスラム文化センター」が管理していて、代表である佐藤さんという方は、30代の頃にイスラム教の改宗したそうです。
仙台イスラム文化センター
http://www.iccsendai.org/web/jp/非政治的、非営利的で人種差別のない自主的な組織としてイスラム教徒のアイデンティティとイスラムの活動を健全に保つため、また日本社会におけるイスラム文化の振興のために設立
その佐藤さんは、礼拝場所の確保に苦労したしたそうで、留学生から寄付金を募るなどして、ようやく仙台マスジドができたという経緯があります。
それでも、イスラム圏内にはいたるところにあるモスクが、ここにしかないということで、ムスリムたちはモスクが遠いことを嘆いています。
先述の毎週金曜日の礼拝に加えて、1日5回の礼拝が義務となっているムスリムにとっては、日常の礼拝も一苦労のようです。
礼拝の時間になると、公園、駐車場、建物の隅といったところで、他人の邪魔にならないように、マットを敷いて行っています。
となりのムスリム ハラルの理解度
「ハラル」とは、「許されている」という意味のアラビア語で、「ハラム」は、「禁じられている」という意味の反対の言葉です。
ハラルとハラムを明確に分けるのは難しいようですが、ハラムでないものがハラルと考えると良いそうです。
食品については、だいたい以下のような区分けになるそうです。
ハラル
野菜、果物、魚、卵、牛乳
イスラムの方式にしたがって”と畜”された動物の食肉、あるいはその派生物ハラム
豚・犬
死んだ動物の肉、イスラムの方式にしたがってと畜されなかった動物の食肉、あるいはその派生物
血液など
酒
その他、かぎづめのある動物など
ただし、宗派や個人によって、細かい解釈は異なるようですので、これ以上は記すのが難しいところです。
仙台市内で、「ハラス食」が食べられるレストランは、バングラデシュ人の店長が営む「ナン・タンドリ」だけだそうです。
日本のものが、ハラル対応かわからないために、留学生などは魚、野菜、卵だけで過ごす人もいるため、立ち上がった経緯のようです。
現在は、ムスリムたちが増えてきたこともあって、講習会を開くなどしてハラルを理解してもらう動きも出てきています。しかし、浸透するにはまだまだのようです。
宮城県では、ムスリム旅行者への「食」に関連したおもてなし対応の普及促進を図る目的で、平成28年から「ハラール対応食普及促進事業」を始めています。
ハラール対応食普及促進事業
セミナーの実施などの「学ぶ」場の提供
ハラール対応の「実践」
ムスリムの意見を聞く「テスト」
こういった事業を行っていき、県内の飲食関連事業者や食品製造事業者を包括的に支援しています。
こういった行動を機に、「ナン・タンドリ」だけでなく、ムスリムの居場所となるレストランが増えてほしいところです。
※調べたところ、仙台の宿泊や食事について、よい情報がありました。
ちなみに、気仙沼市の「阿部長商店」では、ハラルの認証機関「JAKIM」からハラル」の認証を受けたそうです。イスラム圏へも販路を拡大していくとのことです。
となりのムスリム 異文化への理解
イスラム教は、他の宗徒との結婚は認められていないため、日本人で改宗することで、ムスリムと結婚している方たちがいます。
そんな方に聞くと、宗教が原因のトラブルはないそうですが、周囲の人々の異文化への関心の薄さを感じるそうです。時間をかけ文化や風習、生活スタイルを理解してもらうように努めているそうです。
それでも自分の子供については、食べてはいけない学校給食、友達との交友で礼拝への理解等々、いろいろと難しいことが出てきそうで、乗り越えられるか不安だと言います。
ムスリム 被災地への援助
東京都豊島区のモスク「マスジド大塚」では、東日本大震災発生の翌日の支援から始まって現在までに、103回にも渡る支援をされています。
「隣人が空腹でいるのに、腹いっぱい食べるのはイスラムを信仰する者でない」という教えにスタ外、必要なときがあればいつでも、支援を惜しまないという素晴らしい行動は、改めて「相互扶助」の精神を教えられます。