AIに携わる人材は積極採用される時代
近年は、学生の「売り手市場」が続いていますが、就活活動の1つのキーワードが「AI」です。ネット関連のみならず、様々な企業がその方面に秀でた人材を欲しがっています。
AI(人工知能)関連の情報技術分野の仕事を志す学生にとっては、就職活動は非常に有利に働いていきそうです。AI導入はまだ一部の企業に限られているため、全国的な広がりではありませんが、将来的な面を考えて、AIに対応可能な学生を今から積極的に採用する企業もたくさん出てきそうです。
就職はAI採用時代へ突入する
今年の採用面接にAIを試験導入する会社も出現。音声による対話形式で、AIが学生に質問して学生からから回答を得て、性格その他を分析するそうです。学生が現地に訪れなくても、遠隔地でも面接が可能なため、全国の学生に面接を受けてもらえる点もメリットの1つとなっています。
このサービスを始めた会社によると、導入企業は順調に増えているそうで、約70社が利用しており、今後も地方の企業の利用も増えてきそうとのことです。
このような動きがあれば、大学側も対策を講じるのは必然の流れになります。 一部の大学では、「学生が慣れておく必要がある」と考え、本格的なAIを導入した面接システムを取り入れる動きが出ていきています。
AIによる採用
現在の採用方法の多くは、履歴書と面接によるものです。つまり、人力による採用ですが、今後はAIが、その役割を担っていくことになりそうです。
その背景には、手不足による採用コストと、採用によるミスマッチの抑制があります。AI導入によりこれらが可能になることが認知されれば、この動きが加速していくことは間違いなさそうです。
経験者の勘や知見に頼る採用からAIによる採用へ!
「こういうキャリアの人は、こういう転職すればキャリアアップできる」ということが確実に支援できるようになれば、ベストマッチがどんどん増えて日本経済全体にも大きなプラスとなります。
AI採用によるAIの弱点
逆に、採用にAIを実験的に導入し結果、最終的には断念した会社があります。その理由は、「なぜこの人を選んだのか。なぜこの人を選ばなかったのか」がAIから返ってこなかったからだといいます。
つまり、AIは自らは瞬時に回答を導き出すものの、その思考回路を人間の言葉で説明できないという弱点があるのです。
採用という重要な仕事は、AIだけでなく人間のチェックが必要になります。信頼できるデータだとしても、その合理性についてやはり確認が必要というわけです。理由が返って来なければ、結局人間がやることと変わらないので、多少の時短にはなってもそこまでして導入する必要はないと、その会社は判断したようです。
AIの思考回路は人間とは根本から違います。例えば、将棋や囲碁の世界でもAIがプロ棋士に勝つ時代になっていますが、指した手が人間を上回る絶妙手であっても、その理由は説明してくれません。ならば、そこで使われたプログラムを見てみてみればいいと思うのですが、普通の人には絶対に理解などできるものではありません。
採用の話に戻しますが、採用者の選別にAIを用いても「なんでこの人が選ばれて、なんでこの人を選ばれなかったのか」の理由をAIの選択から推測し、それを人間の理解できるように伝える人間は必要だということになります。
このことから、就職が例になりましたが、AIにすべてが席巻されることはないということです。AIがあらゆる業種に組み込まれていったとき、人間はその仕事の性質が変わっていくことになるのでしょう。
AIの回答から的確な分析をしたり、わかりやすく説明する技能という新たな需要が生まれる時代に突入したことも表しています。
キーワードはAI AIエンジニアの不足
経済産業省の推定(IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果)によると、最先端技術を使えるエンジニアは2020年に約4.8万人以上不足するだろうとの予測が出ています。
不足の原因は、AIエンジニアを要請できる場所が限定されていることに尽きるでしょう。全国的に、そういった要請場所を作り、人材養成していくことが急務となっています。
現在は、AIエンジニアの需給バランスが崩れていて希少性が高いため、高収入が得られやすくなっています。海外のAIエンジニアの平均年収が1,000万円と言いますから、今後、花形の職業になることは間違いないでしょう。
ちなみに、現在の日本では、最低で年収450万円程度、高くても1,000万円程度になっています。
今後は、AIエンジニアの要請とともに、前出のAIの回答を読み解いて伝える人材の要請も必要になってきます。
AI活用業種に就職する道
1、AIを実装できるエンジニアになる
プログラマーとしてのプログラミングスキル、数理統計の理解、機械学習ライブラリを利用する力など。
2、AIでサービス設計ができるプロダクトマネージャーになる
AIの技術を少し実装できて、AI技術の基本を理解している。
1は非常に難易度が高いため、学べば誰でもなれるものではありません。しかし、2のプロジェクトトマネージャーであればそれは可能であり、それでも希少性が高いので、その道を目指す選択肢も大いにあります。
そこで、AIの技術はどこで学ぶかですが…
1、情報科学系の大学院に入りなおして、基礎から実装能力を身に着ける
2、AIのプログラミングスクールに通う
3、独学で習得する
1ができる人はとても少ないのであまり現実的ではありません。2は、実際にフィードバックをもらいながら、ポテンシャル枠でAIエンジニアとして採用される道があります。未経験で採用されるか、現在の職種の専門性を持ちながらAIプロダクトマネージャーとして転職する方法です。
AIに長けた人材採用は、今後も加速することは間違いない動きと言えます。就職について見てくるだけでも、今後、人間の普段の生活の中にAIが浸透する日は、思っているよりも早くなりそうであることは確実であると実感します。