有給休暇の新制度
2019年4月1日より、会社は年次有給休暇が10日以上ある社員に対して、1年間に最低5日間の有給休暇を取らせなければならなくなりました。有給休暇が取りづらい会社に努めている人にとっては朗報です。
この記事では、有給休暇の新制度についてまとめます。
有給消化の新ルール
1年間に最低5日間の有給休暇が取れなかった場合、会社側に労働基準法違反として30万円以下の罰金が課されることになります。今まで有給が取りづらかった会社にとっては、強制的にでも5日は取らせなければならないことになります。
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2016年の年次有給休暇の1人平均18.2日に対して、実際の社員の消化日数9日で、取得率49.4%という低さになっています。職業別では、郵便局や農協などの「副業サービス業」が64.6%と最も高く、宿泊業、飲食サービス業が32.8%と最も低くなっています。
日本の有給休暇取得率は世界最低
有給休暇の取得率は、3年連続で世界最低となった日本。それだけに、政府も取り組みを始めているわけですが、2020年までの取得率目標70%に対して、2017年は51.1%となっていてひじょうに差があり、大きなメスを入れなければ実現は厳しい状況です。
世界では、多くの国の取得率が70%以上となっていて、フランスでは100%取得が当たり前となっています。日本の50%は圧倒的に低い数値であり、年間に1日も有休を取れない社員が15%も存在します。これだけの乖離があると、本当に日本人は働き者だということが言えると思います。
世界の有給取得率を見ると、以下のようになっています。
100% ブラジル、フランス、スペイン、ドイツ、香港、タイ
96% イギリス
93% メキシコ、シンガポール、韓国
88% カナダ
86% 台湾
75% イタリア、インド、ニュージーランド、マレーシア
71% アメリカ
70% オーストラリア
50% 日本
(エクスペディア統計による)
本当に、日本だけがダントツで低い数値となっています。さすがにこれは問題と言わざるを得ませんね。
このような状況を踏まえ、この新ルールが始まっています。これは、従業員に有給休暇の取得を義務化するのではなく、会社側に時季指定を義務付けるものです。
この新制度、新ルールは、社員にとって本当に有利になっていくでしょうか。実は、喜ぶのは公務員だけかもしれません。新制度を作っても、うまくすり抜ける会社が現れるだけのような気もします。もともとブラック企業は、順法精神などないですから機能しないだろうという懸念です。
また、有給を取りたいのに取れない会社は、取らない社員が悪いとしてその罰金を給料から天引きするような会社も出てくるかもしれません。日本には本当にいろいろな会社があるので、紹介してみましょう。
有給休暇の扱いはさまざま 新制度もすり抜けるだけか
日本の会社の有給休暇の扱いは実に様々であり、うまくやってきているところも多い印象です。「会社が潰れるくらいなら多少ブラックなことしても生き残る選択をした方が社員のため」という考えの会社は存在します。そして、それが本音の会社から建前の会社まであります。
ブラックな会社を根絶するには、今回の新制度くらいでは無理でしょう。そもそも「ブラック企業は必要悪なのかと」いう問題にも突き当たってきますし。結局のところ、個人としてはブラックな会社に入らないようにするしかないとも言えます。残念なことですが…
ここで、日本のいろいろな会社の有給休暇の扱いについて、見ておきたいと思います。
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有給休暇新制度 世間の声を抜粋
有給より先に「完全週休2日」の義務化をして欲しい。企業によって出勤日の差がありすぎる。
有給休暇の会社の新ルール「今日は有給休暇とし、タイムカード押さないで仕事してね」
経営者には懲役、職場は公表の上営業停止ぐらいさせないとダメだよ。
今の職場の人数カツカツ状態で有給なんぞ取れるとは思えない
絶対サービス残業したり、勝手に休日出勤しちゃう人出ると思うんだけど…。そこら辺から潰していかないとダメじゃない?
下っ端がルールを知っていても、上の人間が知らぬ存ぜぬで通されれば結局消化なんて出来ない。
罰金の分を給与とか賞与の減額で調整する会社出てきそう
#ついっぷるトレンドより