選挙 くじ引きのやり方 相模原市議選を始め過去の例(世界も)紹介

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選挙のくじ引き やり方と事例

 

 

選挙では得票数が同じになると、当選者はくじ引きによって決まります。公職選挙法の第95条にきちんと書かれています。

この記事では、その詳しい仕組みと、2019年4月8日に行われた相模原市議選で起こったくじ引きの他、過去の例を世界も含めて紹介します。

 

 

選挙のくじ引きって?やり方は?

 

「同得票数」になることは、滅多に起きることではありません。しかし、過去に選挙はたくさん行われていますから、実際にいくつか同得票数が発生しています。

 

 

くじ引き選挙 選挙の規定

 

 

公職選挙法第95条
「当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定める。」

このような規定がありますが、どうやってくじを引くのかという法的な決まりはありません。過去のいろいろなくじ引きの方法は、世界の例も含めて後述します。

同点決勝をするということになりますから、くじ引きが行われるケースは基本的に当落線上にいる候補者のところでしか起きません。つまり、くじ引きという安易?な方法で天国と地獄が決まってしまうということです。

ではなぜ「くじ引き」なのでしょうか。それは、世界の選挙においても見られることであり、過去のやり方を参考に決められたと思われます。

 

 

なぜくじ引き?過去の世界をくじ引き選挙を紐解く

 

 

古くは古代のギリシャ、古代ローマではくじ引きが用いられていました。ルネッサンスの時代でもくじ引きが行われています。

古代ギリシャの行政官、裁判官の選挙では、くじ引きで約90%が決まっていました。

近代に入ってから代議制民主主義が採用されたのは、民主化を嫌った貴族層が自らの支配を正当化するためだったそうです。統治する側とされる側の同一性と平等性を前提とする「くじ引き」民主主義が、失われた民主政治のもう1つの発展経路だったと言います。

世界では、現在の先進国に当たる国では、ほぼくじ引き選挙は採用されているようです。

日本でも、裁判員が抽選で決められますから、司法だけでなく政治でもそれと同等のやり方があってもおかしくないとも言えるかもしれませんね。

 

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くじ引き選挙 過去の例は?くじのやり方は様々

 

 

過去の例を挙げてみましょう。まずは、相模原市議選から。

 

相模原市議選(2019年4月7日)

定数17の相模原市議選では、最下位当選となる17番目の得票数で2人が並びました。

共産党新人の今宮祐貴氏(34)と無所属新人の松浦千鶴子氏(45)が得票数3158票で同得票数でした。

翌日、2人は午前4時すぎに区選管が机上に用意したくじを順に引きました。その結果、今宮氏が当選くじを引き当て、当選が決まりました。

各候補のコメントは以下のとおりです。

今宮氏「仲間にありがとうと言いたい。こんなに1票が重たいとは」

松浦氏「結果は真摯に受け止める。支援してくれた人に感謝している」

 

 

京都府の大山崎町議会選(2018年10月21日)

定数は12に対して、最後の12議席目に2人の候補が同数で並びました。

クジのやり方は、神社のおみくじと同じで、数字が書かれた棒が入っている筒を振って引いた数字によって当選を決める「棒くじ」でした。2本のくじを引き、1が書いてある棒を引いた方が当選というルールで行われました。

棒クジのその他のやり方としては、1から10までの10本のくじを引いて、小さい方を引いた方が当選などがあります。

その他のやり方

・福引でつ合われるガラポン抽選機のやり方

・2つの封筒を1つ選び、中に入っている紙に「当選」と書かれていた候補が当選というやり方

・候補者の届出番号を記載した紙を封筒に入れ、選挙長が立会人の見守る中で後ろ向きになって、封筒から紙を引いて当選者を決定というやり方

 

石川県七尾市議会選(2017年10月)

現職市議が3か月以内に辞書して欠員となったため、2人いた次点候補が繰り上げ当選の対象となりました。この2人がくじを引いて決めています。

 

島根県飯南町議会選(2017年7月)

最後の2議席をめぐって、3人が同数の票で並びました。このときのやり方は、1から3までの数字がかかれた3本の棒くじを用意し、3を引いた人が落選というルールでした。

 

北海道大樹町議会選(2003年と2007年)

2回連続でくじ引きが行われた珍しい例です。さらに、2003、07年のどちらもくじ引きになった候補者がいました。

これは珍しい例なので一連の結果を記します。

2003年の町議会選でくじ引きによって落選したこの候補は、現職議員が死亡したことにより繰り上げ当選となりました。次の2007年の町議会選でまたくじ引きとなり、今度はくじ引きで当選を果たしました。

 

さて、このくじ引きというやり方で、どうしても気になるのは落選者です。本人のやるせない気持ちもわかるのですが、そこは選挙の規定ですからある程度割り切ることもできるのではないかと想像できます。

選挙で「天国と地獄」(当選と落選)が出るのは当選ですが、くじ引きとなった場合は、落選者に違った扱いがあります。

 

 

くじ引き選挙 くじ引きで負けた人はどうなる?

 

 

くじで負けてしまったら、決められた方法とは言え、気持ちとしては「こんな方法で決まってしまうのか」と感じてしまうことでしょう。

ただ、落選した候補は普通の落選とは異なる扱いになります。

 

現職の死亡や辞職などによって欠員が生じた場合

3か月以内であれば次点の候補が繰り上げ当選となります。3か月以降になった場合は、欠員のままか補欠選挙が行われます。

これがくじで負けて次点となった候補は、任期中に欠員が生じた場合に、3か月以降でも繰り上げ当選となります。

過去には、落選して1年以上経ってから繰り上げ当選となった事例もあります。

長野県の松本市議会選では、任期があと20に程度しかない記事に繰り上げになりました。候補も複雑な気持ちだったことでしょう。

 

以上、くじ引きによる選挙をまとめてみました。選挙で「くじ引き」を採用するのは、世界中で賛否が絶えないことの1つかもしれません。